明日、君がいない(ネタばれ)

ちょっと前に見たのだが、今の俺の気分にぴったりなので。

映画って大抵は「誰が殺した?」みたいに始まるわけだけど、
この映画では殺人ではなく自殺であり
「誰が死んだ?」と被害者を追う、ちょっと変わった視点で進む。



とある高校で「誰か」が自殺をしたシーンから始まる。
んでそれが誰なのか分からぬまま、時間が戻りその日の日常を描きだす。


主役として主に出てくるのは、それぞれが深い悩みを抱える6人の生徒。
皆苦悩し、誰がその自ら命を絶った「誰か」であってもおかしくない状況を
群像劇的に描いてます。



でもこっからネタばれすると。


「誰か」はその6人の話の中にちょいちょい出てきては、
ちょっとした助けをしてあげたり、悩みを聞いてあげようとしたりしては
邪険に扱われたり、無視されたりしていた「脇役」のような女の子。



視聴者目線で言えば彼女は決してその6人の「苦悩の物語」の登場人物にはなっておらず、
劇中人物の目線でいうと、その6人の「苦悩の物語」の登場人物にはなっていない。


そんな彼女が、実はそいつらよりも深い悩みを抱え自殺に至ってしまう。
悩みがどういうものかは具体的にわからないんだけど、
視聴者でさえも「こいつ誰だ?」と思ってしまい、
劇中人物もその子に無関心。
自殺したと聞いた後に「悩みがあったなら相談してくれれば・・・」というような事を言う。邪険に扱ってたのはそいつらなのに。


けっしていじめでもなんでもない。


でも、彼らの物語の凄く外側をフワフワと行き来していた彼女がそういう結末になったのは、
「物語」に入れない、入らせてもらえない事の残酷さなんじゃなかろうか。


劇中の言葉でもあるのだが、
悩みなんて人それぞれだし、その感じ方も人それぞれ。
だからそれらの大小を比べることもできないし、「そんなことで自殺なんて」なんて誰にも言えないんだろう。


なんかいろいろと考えさせられる映画でした。


他人の「物語」に自分が関わっているようで実は脇役ですらなく、
知らぬ間に話は進んでる、、って
当然よくある話なんだけど、時には実に残酷。。